【PFSOZ】3.5章『独り、嘆く。』【死霊術師の饗宴】
─────「……ッ!ち、違う。違うよ。私は…!」
「……」
出店巡り、闘技大会やレースの観戦…
殆どアコンカグラの付き添いに終始した聖夏祭も最終日を迎えようしていた頃。
宿の自室で独りで居たレニアの脳内には、アマルテイアの言葉が反響していた。
「……チクショウが。」
誰もいない部屋で零れた悪態。その矛先は他ならぬ自分自身に向けられた物。
道端で見かけた、恵まれぬ民に無償の癒しを施すリーア。
彼女に無私の慈悲と正義感を以て戦いながらも陰謀に斃れた親友、そして同時に狂気と共に蘇り、最愛の人の命を奪った仇敵のフィーを重ね、彼女を正当な手段で王にする事で己の心に救いを欲した事から、レニアにとってのこの王位争奪戦は始まった。
そしてエイリル教団の一員として戦い、砂漠では盗賊団を撃退し、剣の平原では幾多の怪物を屠った。
その結果、オアシスの街の平穏を守り、ザリアドールの人々の命を救う事ができた。
5年前は何も守る事も、救う事も出来なかった自分が。
……アマルテイアに会うまでは、そう思っていた。
「……とんだ思い上がりだ。」
5年ぶりに再会したアマルテイアは壊れてしまっていた。
親友を失った悲しみで感情は希薄となり、己自身を消えてしまったメアリスに投影しているように見えた。
彼女がそうなってしまった原因は紛れもなく、メアリスを守れなかった、救えなかった自分にある。
アマルテイアの真意を知らないレニアはそう思っていた。
「……自分が壊したものにすら気付かずに何が守れただ?救えただ?
何か少しでも成し遂げたつもりだったのか?俺は……!!」
窓の外から祭りの喧騒と共に月明りが差し込んでくる部屋で、レニアの組んだ足の腿に雫が零れた。
─────黒王軍、襲来。
その報と教団からの招集を受けたのは、その3時間後の事だった。
─────────────────────────────────────────────
アマルテイア(黄金腕の女):illust/102743998
「……メアリス。俺は…どうすればいい?」:illust/103531906
「……」
出店巡り、闘技大会やレースの観戦…
殆どアコンカグラの付き添いに終始した聖夏祭も最終日を迎えようしていた頃。
宿の自室で独りで居たレニアの脳内には、アマルテイアの言葉が反響していた。
「……チクショウが。」
誰もいない部屋で零れた悪態。その矛先は他ならぬ自分自身に向けられた物。
道端で見かけた、恵まれぬ民に無償の癒しを施すリーア。
彼女に無私の慈悲と正義感を以て戦いながらも陰謀に斃れた親友、そして同時に狂気と共に蘇り、最愛の人の命を奪った仇敵のフィーを重ね、彼女を正当な手段で王にする事で己の心に救いを欲した事から、レニアにとってのこの王位争奪戦は始まった。
そしてエイリル教団の一員として戦い、砂漠では盗賊団を撃退し、剣の平原では幾多の怪物を屠った。
その結果、オアシスの街の平穏を守り、ザリアドールの人々の命を救う事ができた。
5年前は何も守る事も、救う事も出来なかった自分が。
……アマルテイアに会うまでは、そう思っていた。
「……とんだ思い上がりだ。」
5年ぶりに再会したアマルテイアは壊れてしまっていた。
親友を失った悲しみで感情は希薄となり、己自身を消えてしまったメアリスに投影しているように見えた。
彼女がそうなってしまった原因は紛れもなく、メアリスを守れなかった、救えなかった自分にある。
アマルテイアの真意を知らないレニアはそう思っていた。
「……自分が壊したものにすら気付かずに何が守れただ?救えただ?
何か少しでも成し遂げたつもりだったのか?俺は……!!」
窓の外から祭りの喧騒と共に月明りが差し込んでくる部屋で、レニアの組んだ足の腿に雫が零れた。
─────黒王軍、襲来。
その報と教団からの招集を受けたのは、その3時間後の事だった。
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アマルテイア(黄金腕の女):illust/102743998
「……メアリス。俺は…どうすればいい?」:illust/103531906
オリジナル
original
PFSOZ
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エイリル教団
eirirukyoudann
死霊術死の饗宴
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2022-12-15 23:53
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