ただ一緒にいたいだけ
トレーナー室に朝の寒さに一太刀浴びせるような大きな声が響く。
彼女、グラスワンダーが声を荒げるなんてあんまりない。
だから反射的に竦んだ俺は両手を合わせ、謝り倒す。まぁ悪いのはこっちだから当然なのだが・・・。
ドラマはまさに最終局面。
ついに幕府方と朝廷方の緊張が頂点に達し、ついに最後の大戦が始まる、というところだった。
そんな時期にとんでもないポカをしてしまった。本当に情けない・・・。
「こちらも大きな声を出して申し訳ありませんでした」
グラスは綺麗な栗色の頭をペコっと下げる。
「しかし、毎週予約できるよう設定していなかったのですか? 」
表情はいつも通りに戻ったが、まだ声にピリピリとしたものを感じる。
「実は、録ってた番組を消化できていなくて・・・」
「それで容量が足りなくなったと」
俺が頷くと、グラスは顎に指をあてて俯く。
10秒程度してから、こぶしで手のひらをポンと叩いた。
「それでは私が見守り役となりましょうか」
「見守り役? 」
何を見守るんだろうか。頭にはてなマークが浮かび、首をかしげた。
それが面白かったのか、彼女はクスッと笑ってから、
「はい。 トレーナーさんを見守る大任、です」
「そっか。 じゃあ、俺はどうすればいいのかな? 」
「・・・ゆっくりテレビを観ましょう、一緒に」
録画したものは一人で消化できる。それなのにどうして見守り役が要るのだろうか。彼女に尋ねてみる。
「あなたは一人だと仕事に没頭してしまいますよね? 」
そういえばつい先日の休みも机にかじりついて、トレーニングメニューを考えていたのを思い出す。
レース関連の書籍を読んで眠ってしまうのなんてのも日常茶飯事だ。
とても彼女の言い分を否定はできなかった。
「そこで、見守り役が必要なのです」
「だけど俺のために付き合ってもらうのは、どうにも申し訳ないよ」
彼女にもやりたいことがあるだろう。
そのプライベートな時間を奪ってしまうのはどうしても気が引ける。
「問題ありませんよ。 私が見たいものを探して見ようと思います」
「ですからあなたは番組を消化できる、私は見たい番組を鑑賞できる。 損はありません」
「・・・そこまで言うなら、甘えさせてもらおうかな」
別に邪険にしたいわけじゃない。彼女が負担に思っていないのならばそれでいいのだ。
「おいしいお茶請けでも用意して待ってるね」
ならこっちは快適に過ごしてもらえるように努力しなければ。
「ふふ、楽しみにしてます・・・」
彼女の瞳がギラついたように見えたのは、きっと気のせいだろう。
彼女、グラスワンダーが声を荒げるなんてあんまりない。
だから反射的に竦んだ俺は両手を合わせ、謝り倒す。まぁ悪いのはこっちだから当然なのだが・・・。
ドラマはまさに最終局面。
ついに幕府方と朝廷方の緊張が頂点に達し、ついに最後の大戦が始まる、というところだった。
そんな時期にとんでもないポカをしてしまった。本当に情けない・・・。
「こちらも大きな声を出して申し訳ありませんでした」
グラスは綺麗な栗色の頭をペコっと下げる。
「しかし、毎週予約できるよう設定していなかったのですか? 」
表情はいつも通りに戻ったが、まだ声にピリピリとしたものを感じる。
「実は、録ってた番組を消化できていなくて・・・」
「それで容量が足りなくなったと」
俺が頷くと、グラスは顎に指をあてて俯く。
10秒程度してから、こぶしで手のひらをポンと叩いた。
「それでは私が見守り役となりましょうか」
「見守り役? 」
何を見守るんだろうか。頭にはてなマークが浮かび、首をかしげた。
それが面白かったのか、彼女はクスッと笑ってから、
「はい。 トレーナーさんを見守る大任、です」
「そっか。 じゃあ、俺はどうすればいいのかな? 」
「・・・ゆっくりテレビを観ましょう、一緒に」
録画したものは一人で消化できる。それなのにどうして見守り役が要るのだろうか。彼女に尋ねてみる。
「あなたは一人だと仕事に没頭してしまいますよね? 」
そういえばつい先日の休みも机にかじりついて、トレーニングメニューを考えていたのを思い出す。
レース関連の書籍を読んで眠ってしまうのなんてのも日常茶飯事だ。
とても彼女の言い分を否定はできなかった。
「そこで、見守り役が必要なのです」
「だけど俺のために付き合ってもらうのは、どうにも申し訳ないよ」
彼女にもやりたいことがあるだろう。
そのプライベートな時間を奪ってしまうのはどうしても気が引ける。
「問題ありませんよ。 私が見たいものを探して見ようと思います」
「ですからあなたは番組を消化できる、私は見たい番組を鑑賞できる。 損はありません」
「・・・そこまで言うなら、甘えさせてもらおうかな」
別に邪険にしたいわけじゃない。彼女が負担に思っていないのならばそれでいいのだ。
「おいしいお茶請けでも用意して待ってるね」
ならこっちは快適に過ごしてもらえるように努力しなければ。
「ふふ、楽しみにしてます・・・」
彼女の瞳がギラついたように見えたのは、きっと気のせいだろう。
ゲーム
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アニメ
anime
ウマ娘プリティーダービー
Uma Musume Pretty Derby
ウマ娘
horse girl
グラスワンダー(ウマ娘)
Grass Wonder (Uma Musume)
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2022-12-17 16:42
Comments (6)
権謀術数を極めたグラスは、トレーナーの顔を見ながら死んでいったのだった…
View Replies慌てるな来週土曜の昼に再放送がある
View Repliesどうするトレーナー
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