愛しの風船

これは昔...少年と、風船を持った青い鳥のお話です。

青い鳥は嬉しそうに、自分の風船を少年に見せました。

青い鳥は少年とのおしゃべりを楽しんでいます。

少年は青い鳥の優しい声が大好きです。

風船は青い鳥の心臓、割れたら死んでしまいます。

少年は必死に青い鳥の風船を守ろうとしました。

さて、青い鳥と少年は幸せな結末を迎えられるのでしょうか。

悲しいけれど、それは不可能です。

なぜならば青い鳥の風船は

不幸な子どもの魂のおかげで、ふわりと浮いているのですから。

このままだと青痣だらけの少年は、

青い鳥の風船に魂を吸われて死んでしまいます。

しかし少年は青い鳥が大好きです。

青い鳥も、少年のことを愛しています。

子ども達の魂で生きている青い鳥、

罪悪感がないといえば嘘になります。

少年は青い鳥に美しい花を贈りました。

少年は花束の中から、バラを1本手に取りました。

少年はバラのトゲを気にすることなく握りしめ、

風船に向けて思い切り投げました。

青い鳥は安堵しました。

「これで子どもたちは私の風船に魂を吸われずに済む」

愛しい少年のおかげで呪いが解けたのです。