『食事』

食事中、目の前に座っている同僚、フリージア様がぼうっと眺めていたコーヒーカップを置き、小さくため息をついた。
どうしたのでしょうか。私は流石にコーヒーにレグルス産キャンディーを混ぜたりしないのですが……。
「なあジョセフ、お前って本当美味しそうに甘いモン食うよな。」
「え?まあ…」
「その表情が昔の戦友によく似ててな。
どうしても気になっちまうんだ。」
「そうですか。」
フリージア様はよく昔の戦友様の話をします。
どのような方なのかは存じ上げませんが、私と性格や好物がよく似ている方なのかもしれません。

……にしてもフリージア様手作りケーキ良いですね。
美術品No.567『ガベル』の焼きリンゴ乗せと同等と言っても過言では無いほど美味です。
おいし…。
__そんな事を思っていると、少し温かい感触が頭に伝わりました。
「…フリージア様。急に私の頭を撫でてどうされましたか?私はまだ食事中なのですが…」
「お前の飯食ってる姿が昔の戦友によく似てて、つい……すまねえな。」
「いえ、大丈夫ですよ。」
少し懐かしい感覚でした。
私は昔、恋人によく頭を撫でられていたのかもしれません。今はもう、顔も名前もあまり覚えて居ませんが。
「あらあら〜レアちゃんにラビ君じゃない〜!
2人だけで御茶会かしら?ステキね、ワタクシも混ぜて頂戴!」
「あ!マリア様!俺もマリア様が居なくて少し寂しかったんです!ぜひぜひ!」
「マリア様でしたか。フリージア様のお隣にお掛けになったらどうですか。」
「…ええ!そうするわ、ラビ君。」

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2024-07-03 00:28

 成瀬エル


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