【ファンタジーストーリー付】聖槌の騎士と封印の異変
シーン 1:騎士団長との出会い
辺境の村で、最近モンスターの襲撃が頻発しているという。
村人たちの話によれば、村の近くにある古びた廃城から瘴気が漏れ出し、それと共に魔物が現れるようになったらしい。
長老は冒険者ギルドに調査の依頼を出しており、俺たちは報酬目当てにこの仕事を引き受けた。
廃城へ向かう道中、鬱蒼とした森の中で、鎧をまとった女性と遭遇した。
「君たちもあの廃城へ行くのか?」
騎士らしい堂々とした態度と、鍛えられた体つき(と大きな胸)。彼女の手には、巨大なメイスが握られていた。
「私は白銀ノエル。王都の騎士団長の一人だ。王の命で『真実の盾』の調査と修復しに来た」
彼女の話によれば、「真実の盾」は強力な封印で、かつてこの地に巣食っていた災厄を抑え込んでいたらしい。
しかし何らかの原因で封印が弱まりつつあり、それがモンスターの増加の要因となっている可能性がある。もし封印が完全に失われれば王国に「災厄の風」が吹くと言い伝えられており、特命を受けてこの地へ派遣されたのだという。
「私は戦闘には自信があるが、探索や鍵開け、トラップの解除は不得手でな。廃城の探索に困っていたところなんだ。協力しないか?」
俺達は顔を見合わせる。
彼女と協力して解決しても俺達の報酬が減るわけでもない。
戦闘の負担が減るなら、願ってもない話だ。
こうして、騎士と冒険者の即席パーティーが結成された。
シーン 2:廃城での戦闘
崩れかけた城門をくぐり、奥へ進むほどに瘴気が濃くなっていく。
道中には奇妙な彫刻や石像が並び、各所に罠や隠し通路が仕掛けられていたが、俺たちの探索スキルで進行ルートを確保できた。
だが、廃城の奥に進むにつれ、魔物の数が増してくる。
ノエルは戦闘時に自身に強化呪文を唱え、巨大なメイスに魔力を纏わせていた。
なるほど、エンチャント呪文とオーラによる強化を併用するタイプらしい。
王都の騎士というから剣術を想像していたが、魔法も相当使えるようだ。
彼女の一撃が放たれるたび、雷鳴のような衝撃音が響き、廃城の壁や床もろとも魔物の群れが吹き飛ばされる。
「うわっ…近づけねぇ…」
その威力と巨大なメイスを振り回す彼女の周囲には、誰も不用意に近づけなかった。
「巻き込まれないようにしろ。俺たちは探索に集中するぞ!」
あれだけの巨大なメイスを軽々と振り回せる腕力と、その破壊力は規格外だった。
俺たちはほぼ戦闘をノエルに任せながら、奥へと進んでいった。
廃城の最深部に着くと『真実の盾』の間に辿り着いた。
そこでは瘴気が渦巻き、結界の力が弱まっているせいか、霊魂のようなものが飛び交っていた。
「やはり、結界にほころびができている。しかし妙だ……この結界を守っているはずのゴーレム、古代の守護者がいない……」
彼女はあたりを見回し、何かレンガのかけらのようなものを拾い上げた。
「これは……守護者の体の一部……? まさか誰かが守護者を倒し、結界を弱めたのか……?」
そうしていると、近くのスピリット達が守護者の欠片のあたりに集まっていく。
やがて、欠片は霊魂と融合し、巨大なゴーレムの姿を形作った。
廃城の天井ギリギリ、4メートルはあろうかという巨大なゴーレムが、不気味な呻き声を上げながら、俺たちへと向かってくる。
その腕の一振りで俺たちは数メートル吹き飛ばされ、まともに受けた仲間は大ダメージを負った。
「こいつはやばい…!」
俺たちは身構えた。しかし、ノエルは微塵も怯んでいなかった。
「守護者だった者を破壊するのは多少心が痛むが……仕方ない。君たちは少し下がってろ」
そう言うと、ノエルはメイスを掲げ、さらなる強化呪文を唱える。
「我が誓いに応えよ、王都の加護よ! 聖なる鉄槌、此処に顕現せよ!」
すると、彼女の持つ二本のメイスが一回り以上巨大化し、雷光のような魔力が迸った。
「砕け散れぇぇ!!!」
ノエルが咆哮とともに巨大なメイスをゴーレムに叩きつけると、その巨体は爆砕した。
俺たちは呆然と立ち尽くしていた。
もうゴーレムだったものは動く気配はなく、スピリットも消えていた。
「あれをこんなにあっさりと……?」
「よし。封印を修復する」
俺たちが驚愕している間に、ノエルは修復の呪文を唱え、淡々と作業に取り掛かっていた。
シーン 3:「白銀」の騎士、つかの間の別れ
封印を修復し、廃城を出てしばらく歩いたところで、俺たちは休息を取ることにした。
ノエルの手に握られているのは、戦闘時に振るっていた巨大なメイスとは似ても似つかぬ、小ぶりなスティックのような武器だった。
どうやら、強化の呪文が解けると普段のサイズに戻るらしい。
ノエルは鎧を外し、傷の手当てを始める。
鎧の下に着ていた布を無造作に脱ぎ捨て、下着のような軽装になった。
視線のやり場に困る俺たちをよそに、彼女はまったく気にする素振りもなく、回復の呪文を唱えている。
「おいおい……」
「気になるのか? 戦場では、男も女も関係ないだろ」
さらりとそう言い放つと、俺たちのほうを見回し、
「君たちも傷ついてるなら回復しようか?まだ魔力は少し残っているが」
と、当然のように言う。
なるほど、根っからの騎士、軍人気質らしかった。
若くして団長になったのも、この「鋼」のような強さとプロ意識のおかげかもしれない。
まあ、あれだけの戦闘力を見せつけられては変な気が起こるわけもなかったが。
俺たちは改めて、目の前の騎士が只者ではないことを実感したのだった。
「それにしても、何者が守護者を倒して結界を弱くしたのか・・・」
彼女の呟きに、誰も答えることはできなかった。
俺達は村まで戻り報酬を受け取るとノエルと別れた。
依頼は完遂したものの、不気味な謎は残ったままだった。
■王都騎士団長
・概要
王国騎士団の指揮官。戦場では圧倒的な戦闘力を誇る。
近接戦闘を得意とし、強化魔法なども駆使する。
一方で、探索や索敵の技能は不得手であり、戦闘以外では補佐が必要となることも多い。
実戦経験豊富な戦士でありながら、戦闘以外では感覚が少しズレていることもある。
・出現頻度
王都や戦場で見かけることが多いが、特命を受けると辺境へ派遣されることもある。
高位の騎士と接触する機会は一般の冒険者には稀。
・出現地域
王都、戦場、特命を受けての派遣された地
・危険度
低:民間人には敵意はない。ただし闘時は極大。味方であっても近くにいること自体が危険。
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やっぱりストーリー付きだと都度スクリプトとストーリーを考えないといけないのでシリーズとして頻度高く投稿するのは厳しかった。
まあ楽しいからいいんですけど。
他にもショートストーリー付きで色々書いていきたい。
辺境の村で、最近モンスターの襲撃が頻発しているという。
村人たちの話によれば、村の近くにある古びた廃城から瘴気が漏れ出し、それと共に魔物が現れるようになったらしい。
長老は冒険者ギルドに調査の依頼を出しており、俺たちは報酬目当てにこの仕事を引き受けた。
廃城へ向かう道中、鬱蒼とした森の中で、鎧をまとった女性と遭遇した。
「君たちもあの廃城へ行くのか?」
騎士らしい堂々とした態度と、鍛えられた体つき(と大きな胸)。彼女の手には、巨大なメイスが握られていた。
「私は白銀ノエル。王都の騎士団長の一人だ。王の命で『真実の盾』の調査と修復しに来た」
彼女の話によれば、「真実の盾」は強力な封印で、かつてこの地に巣食っていた災厄を抑え込んでいたらしい。
しかし何らかの原因で封印が弱まりつつあり、それがモンスターの増加の要因となっている可能性がある。もし封印が完全に失われれば王国に「災厄の風」が吹くと言い伝えられており、特命を受けてこの地へ派遣されたのだという。
「私は戦闘には自信があるが、探索や鍵開け、トラップの解除は不得手でな。廃城の探索に困っていたところなんだ。協力しないか?」
俺達は顔を見合わせる。
彼女と協力して解決しても俺達の報酬が減るわけでもない。
戦闘の負担が減るなら、願ってもない話だ。
こうして、騎士と冒険者の即席パーティーが結成された。
シーン 2:廃城での戦闘
崩れかけた城門をくぐり、奥へ進むほどに瘴気が濃くなっていく。
道中には奇妙な彫刻や石像が並び、各所に罠や隠し通路が仕掛けられていたが、俺たちの探索スキルで進行ルートを確保できた。
だが、廃城の奥に進むにつれ、魔物の数が増してくる。
ノエルは戦闘時に自身に強化呪文を唱え、巨大なメイスに魔力を纏わせていた。
なるほど、エンチャント呪文とオーラによる強化を併用するタイプらしい。
王都の騎士というから剣術を想像していたが、魔法も相当使えるようだ。
彼女の一撃が放たれるたび、雷鳴のような衝撃音が響き、廃城の壁や床もろとも魔物の群れが吹き飛ばされる。
「うわっ…近づけねぇ…」
その威力と巨大なメイスを振り回す彼女の周囲には、誰も不用意に近づけなかった。
「巻き込まれないようにしろ。俺たちは探索に集中するぞ!」
あれだけの巨大なメイスを軽々と振り回せる腕力と、その破壊力は規格外だった。
俺たちはほぼ戦闘をノエルに任せながら、奥へと進んでいった。
廃城の最深部に着くと『真実の盾』の間に辿り着いた。
そこでは瘴気が渦巻き、結界の力が弱まっているせいか、霊魂のようなものが飛び交っていた。
「やはり、結界にほころびができている。しかし妙だ……この結界を守っているはずのゴーレム、古代の守護者がいない……」
彼女はあたりを見回し、何かレンガのかけらのようなものを拾い上げた。
「これは……守護者の体の一部……? まさか誰かが守護者を倒し、結界を弱めたのか……?」
そうしていると、近くのスピリット達が守護者の欠片のあたりに集まっていく。
やがて、欠片は霊魂と融合し、巨大なゴーレムの姿を形作った。
廃城の天井ギリギリ、4メートルはあろうかという巨大なゴーレムが、不気味な呻き声を上げながら、俺たちへと向かってくる。
その腕の一振りで俺たちは数メートル吹き飛ばされ、まともに受けた仲間は大ダメージを負った。
「こいつはやばい…!」
俺たちは身構えた。しかし、ノエルは微塵も怯んでいなかった。
「守護者だった者を破壊するのは多少心が痛むが……仕方ない。君たちは少し下がってろ」
そう言うと、ノエルはメイスを掲げ、さらなる強化呪文を唱える。
「我が誓いに応えよ、王都の加護よ! 聖なる鉄槌、此処に顕現せよ!」
すると、彼女の持つ二本のメイスが一回り以上巨大化し、雷光のような魔力が迸った。
「砕け散れぇぇ!!!」
ノエルが咆哮とともに巨大なメイスをゴーレムに叩きつけると、その巨体は爆砕した。
俺たちは呆然と立ち尽くしていた。
もうゴーレムだったものは動く気配はなく、スピリットも消えていた。
「あれをこんなにあっさりと……?」
「よし。封印を修復する」
俺たちが驚愕している間に、ノエルは修復の呪文を唱え、淡々と作業に取り掛かっていた。
シーン 3:「白銀」の騎士、つかの間の別れ
封印を修復し、廃城を出てしばらく歩いたところで、俺たちは休息を取ることにした。
ノエルの手に握られているのは、戦闘時に振るっていた巨大なメイスとは似ても似つかぬ、小ぶりなスティックのような武器だった。
どうやら、強化の呪文が解けると普段のサイズに戻るらしい。
ノエルは鎧を外し、傷の手当てを始める。
鎧の下に着ていた布を無造作に脱ぎ捨て、下着のような軽装になった。
視線のやり場に困る俺たちをよそに、彼女はまったく気にする素振りもなく、回復の呪文を唱えている。
「おいおい……」
「気になるのか? 戦場では、男も女も関係ないだろ」
さらりとそう言い放つと、俺たちのほうを見回し、
「君たちも傷ついてるなら回復しようか?まだ魔力は少し残っているが」
と、当然のように言う。
なるほど、根っからの騎士、軍人気質らしかった。
若くして団長になったのも、この「鋼」のような強さとプロ意識のおかげかもしれない。
まあ、あれだけの戦闘力を見せつけられては変な気が起こるわけもなかったが。
俺たちは改めて、目の前の騎士が只者ではないことを実感したのだった。
「それにしても、何者が守護者を倒して結界を弱くしたのか・・・」
彼女の呟きに、誰も答えることはできなかった。
俺達は村まで戻り報酬を受け取るとノエルと別れた。
依頼は完遂したものの、不気味な謎は残ったままだった。
■王都騎士団長
・概要
王国騎士団の指揮官。戦場では圧倒的な戦闘力を誇る。
近接戦闘を得意とし、強化魔法なども駆使する。
一方で、探索や索敵の技能は不得手であり、戦闘以外では補佐が必要となることも多い。
実戦経験豊富な戦士でありながら、戦闘以外では感覚が少しズレていることもある。
・出現頻度
王都や戦場で見かけることが多いが、特命を受けると辺境へ派遣されることもある。
高位の騎士と接触する機会は一般の冒険者には稀。
・出現地域
王都、戦場、特命を受けての派遣された地
・危険度
低:民間人には敵意はない。ただし闘時は極大。味方であっても近くにいること自体が危険。
-------
やっぱりストーリー付きだと都度スクリプトとストーリーを考えないといけないのでシリーズとして頻度高く投稿するのは厳しかった。
まあ楽しいからいいんですけど。
他にもショートストーリー付きで色々書いていきたい。
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2025-01-19 18:42
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