黒猫と毒蛇

■何を、と呟こうとしてその口の動きをマニューラは止めた。目前には赤い舌先をチロチロと揺らし、鼻先から蒸気が抜ける音に似た息を吐く己の部下の姿があった。……生憎、もう一人の方は床の罠によりはぐれてしまったのだ、が。身体を動かそうにしても、腰から胸にかけてをまとめて尾に絡まれ、尾の先端で頭部も掴まれ、自由が聞くのが両腕だけとなっていた。右腕をゆっくりと動かし鉤爪を目前の部下──アーボックの胸に押し付けると、彼のもう一つの顔が軽く歪んだ。　　「…ボス、この前アイツと何してました？」唐突にアーボックがマニューラへと語りかけた。「この前？……あぁ、あん時のね。別に何もしちゃいないけど」アーボックの言うこの前、とは彼が床の罠により一人で彼女らとはぐれた時の事である。その後アーボックがマニューラ達と合流した時、彼は見ていたのだ。相方がマニューラを抱きかかえ、彼女のその顔に顔で触れようとしようとしていた所を。マニューラはドラピオンが取ろうとした行動を知らず、アーボックの質問の意図も読み取れていなかった。だが、これだけは分かった。　　「……尻尾がさぁ、潰されて痛いんだけど。解いてくんない？」「………」　　爬虫類の鱗と皮膚の冷たさは、氷の種であるマニューラですら受け入れがたい感触であると、彼女は静かに息を飲んだ。　■illust/12242517での4位はアーボック・6票でした。ドラピよりも票があるのはたまごグループの関係でしょうか。しかし部下ズへの票少ないですねー…意外でした　■アーボックは『とにかく執念深い』と言われているので思い詰めると強行手段取りそうと勝手に思っています。でも理性はあるので、たしなめられると素直にその時は諦めるでもやっぱ狙ってる、と言うイメージ　■何やらすごいタグが…（笑）アーボックはともかく、ドラピは押し倒してもその後が続かないと思います（キャプション数の関係でこちらにて失礼）