名君

決して名君とは言えない殿様だった。　
子供っぽい殿様だった。
ちょっぴりスケベな殿様だった。
悪戯好きな殿様だった。
お馬鹿な殿様だった。

いつも馬鹿馬鹿しい振る舞いや、
下らない悪戯をして、
家臣達を困らせてばかりだった。
いつも家臣達には弄られてばかりだった。

一言で言えば、バカ殿だった。

それでも、
彼がいた城は、いつも笑顔だった。
家臣達だけじゃなく、
城下町の皆も笑顔だった。
客人達も笑顔だった。
国中皆が笑顔だった。
世界中皆が笑顔だった。

皆を笑わせ、喜ばせ、
元気を与えてくれた
あのバカ殿は、
どんな名君よりも、
ずっと素敵な名君だった。
決して真面目とは言えない殿様だったけど、
彼がいた城の方が、
ずっと素敵な城だった。

彼がいなくなっても、
僕らは忘れない。
決して忘れない。
僕らをいつも喜ばせ、
楽しませてくれた、
偉大な名君を、
僕らは忘れない。
いつまでも、
いつまでも。

志村けんさん、
今まで僕らに笑顔を届けて下さり、
ありがとうございます。
どうか、いかりや長介さんと共に、
天国から僕らを見守ってください。

改めてご冥福をお祈りします。