【PFSOZ】招かれざる客②
①の続きです。
家に入ると、ハットはルナに自分の部屋であるロフトに居るように言って、ミトと2人になった。ミトは終始気まずそうにしていた。
「これで、最後の忠告にしたい。いや、忠告じゃなくてこれはお願いだ」
ミトはハットの話を黙って聞いていた。
「お前がどう思っているかは知らないが、知っての通りルナは人形だ。少女の見た目をしているが、女でも男でも無い」
「、、、それは分かってます」
「それと、俺はヴァラシン組という裏社会を仕切る組織の一員だ。ルナにも仕事を手伝ってもらってる」
「、、、、」
「こんな所で暮らしてるのも、普通の暮らしが出来ないからなんだ、俺もルナも。普通の人間と関わりを持ちたく無いし、こちらの素性が知られるのもまずい」
ハットはミトの真っ直ぐな目を見てさらに続けた。
「だからもう、俺達に関わらないでくれないか?これはお前の為だし、俺達の為でもある。お前は気に入らないガキだが、正しくて賢い子だ。だから分かって欲しい」
黙って聞いていたミトも口を開いた。
「貴方はやっぱり勘違いしている。僕はルナの事をただの人形とは思ってないよ。心は日々成長しているし、やりたい事や夢だって持ってる。貴方はそれを知ってますか?」
「、、、、」
「僕はルナの夢を叶えてあげたい。僕ならルナの夢をきっと叶えられる。」
ミトはルナの居るロフトの方に目をやった。ルナはこちらの話は聞いていない様子で絵本のシンデレラを声を出して読んでいた。ルナは見た目以上にずっと幼いのだ。
「今日は帰りますが僕は諦めない。貴方達の事は誰にも話さないと約束します。でも、僕の行動を遮る事は、誰にもできないしさせもしない」
そう言ってミトは扉を開けて出て行ってしまった。
やれやれ、と思いながらハットは煙草を咥えて火をつけた。
ルナはそのまま眠ってしまったようだ。
一息ついていると、空間からすーっと緑色の手が現れて、ハットの口から煙草を取り上げた。
「居たのかよ、魔女」
ハットは手の出てきた方を睨みつけた。
「ふふふふ、なかなか良い子じゃったな。物事を見抜く目もある様じゃし、行動力も判断力もある、そして何より自分を貫こうとする純粋さ、ハット、お前とはまるで正反対じゃな?」
空間から、手に続いて全身が出てきた。身体の半分が緑色をしている魔女ヴェラヴェラだ。
「何が言いたいんだ?」
ヴェラヴェラはハットから奪った煙草を吸って、ニヤニヤしながら煙をハットに吹きかけた。
「ハット、お前には分からんだろうから教えてやろうと思ってのう。先程のあの少年、アイツの言う事はハッタリでも戯言でも無いぞ、あれには本当に夢を叶えられる力がある、それを持っているという事じゃ」
ハットは何も言わないでいると、ヴェラヴェラはさらに続けた。
「お前に助言してやろう。素直になるが良いぞ、ハット。心の奥底ではあの少年に期待をしておるな?自分よりルナに相応しいと、そう思っておるじゃろう?」
ニヤニヤと顔を近づけてくるヴェラヴェラから、ハットは目を外らせていた。
「直感に従えば良いのに、何故ゆえ逆の事をしようとするのか?プライドか?ルナを取られて嫉妬しとるのか?ほんとに、お前は可愛いヤツじゃ」
「また消えてくれよ」
「ふふふふ、可愛い可愛い」
なんて事だ、ミトの次はヴェラヴェラが現れるなんて、と自分に降りかかる災難にウンザリしながら、ハットは新しい煙草に火を付けた。
王都郊外の自宅での出来事だった。
おわり。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ピクファン最終章。自作ストーリーも最終回に向けて、全員を動かそうと思ってます。
予定通りに終われるのだろうか?
家に入ると、ハットはルナに自分の部屋であるロフトに居るように言って、ミトと2人になった。ミトは終始気まずそうにしていた。
「これで、最後の忠告にしたい。いや、忠告じゃなくてこれはお願いだ」
ミトはハットの話を黙って聞いていた。
「お前がどう思っているかは知らないが、知っての通りルナは人形だ。少女の見た目をしているが、女でも男でも無い」
「、、、それは分かってます」
「それと、俺はヴァラシン組という裏社会を仕切る組織の一員だ。ルナにも仕事を手伝ってもらってる」
「、、、、」
「こんな所で暮らしてるのも、普通の暮らしが出来ないからなんだ、俺もルナも。普通の人間と関わりを持ちたく無いし、こちらの素性が知られるのもまずい」
ハットはミトの真っ直ぐな目を見てさらに続けた。
「だからもう、俺達に関わらないでくれないか?これはお前の為だし、俺達の為でもある。お前は気に入らないガキだが、正しくて賢い子だ。だから分かって欲しい」
黙って聞いていたミトも口を開いた。
「貴方はやっぱり勘違いしている。僕はルナの事をただの人形とは思ってないよ。心は日々成長しているし、やりたい事や夢だって持ってる。貴方はそれを知ってますか?」
「、、、、」
「僕はルナの夢を叶えてあげたい。僕ならルナの夢をきっと叶えられる。」
ミトはルナの居るロフトの方に目をやった。ルナはこちらの話は聞いていない様子で絵本のシンデレラを声を出して読んでいた。ルナは見た目以上にずっと幼いのだ。
「今日は帰りますが僕は諦めない。貴方達の事は誰にも話さないと約束します。でも、僕の行動を遮る事は、誰にもできないしさせもしない」
そう言ってミトは扉を開けて出て行ってしまった。
やれやれ、と思いながらハットは煙草を咥えて火をつけた。
ルナはそのまま眠ってしまったようだ。
一息ついていると、空間からすーっと緑色の手が現れて、ハットの口から煙草を取り上げた。
「居たのかよ、魔女」
ハットは手の出てきた方を睨みつけた。
「ふふふふ、なかなか良い子じゃったな。物事を見抜く目もある様じゃし、行動力も判断力もある、そして何より自分を貫こうとする純粋さ、ハット、お前とはまるで正反対じゃな?」
空間から、手に続いて全身が出てきた。身体の半分が緑色をしている魔女ヴェラヴェラだ。
「何が言いたいんだ?」
ヴェラヴェラはハットから奪った煙草を吸って、ニヤニヤしながら煙をハットに吹きかけた。
「ハット、お前には分からんだろうから教えてやろうと思ってのう。先程のあの少年、アイツの言う事はハッタリでも戯言でも無いぞ、あれには本当に夢を叶えられる力がある、それを持っているという事じゃ」
ハットは何も言わないでいると、ヴェラヴェラはさらに続けた。
「お前に助言してやろう。素直になるが良いぞ、ハット。心の奥底ではあの少年に期待をしておるな?自分よりルナに相応しいと、そう思っておるじゃろう?」
ニヤニヤと顔を近づけてくるヴェラヴェラから、ハットは目を外らせていた。
「直感に従えば良いのに、何故ゆえ逆の事をしようとするのか?プライドか?ルナを取られて嫉妬しとるのか?ほんとに、お前は可愛いヤツじゃ」
「また消えてくれよ」
「ふふふふ、可愛い可愛い」
なんて事だ、ミトの次はヴェラヴェラが現れるなんて、と自分に降りかかる災難にウンザリしながら、ハットは新しい煙草に火を付けた。
王都郊外の自宅での出来事だった。
おわり。
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ピクファン最終章。自作ストーリーも最終回に向けて、全員を動かそうと思ってます。
予定通りに終われるのだろうか?
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2022-12-15 20:52
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