鬼裏火

『若い頃・・・僕はね、マンガ家になりたかった。けれどマンガ家を目指せるのは期間限定で、25歳を過ぎたら難しくなるのさ』
(とあるアマチュア絵描き・談)

かつて、マンガ家を志した頃・・・私は絵の奥義書を手中に収めるべく、『白い迷宮』へと潜った。数々の苦難、奇妙な出来事、感動的な体験を通じ、様々な美しい光景を目にした私は、ついに奥義書を手に入れ、地上へと帰還した。この間、5年もの月日が経過していた・・・

地上へと戻り、私は愕然とした。
何気なく目にした風景・・・刻一刻と姿を変える世界の光景は、『白い迷宮』で目にした何よりも美しく、光輝いていたのだ。

『考えるな、感じるんだ。いわば、月を指さすのと同じだ。指先に囚われては、その指の先にある美しいものを見失ってしまう』
(とある映画俳優・談)

私は、絵に囚われているあいだ、様々な美しい光景を見逃していた・・・
・・・私は絵の道を捨てた。



それから数十年・・・会社勤めで自分の価値を見失った私は、再び『白い迷宮』に挑む。今度は一人では無い。私は幾千の先行者、幾万の同行者たちと共に在り、共に往くのだ。

『絵を描くというのはね、それは孤独で寂しい作業なんです。だからね、夜中に月明かりの中でpixivを眺めとるとね、そういう寂しさがこぅー伝わってくるわけですよ、画面からね。そうすると、作画の疲れや孤独感とか、何もかも忘れられるんです』
(とある昔の流行作家・談)

『すみません…このシャボテンを下さい』
『あ、お客さん。それアロエなんですよ』
『あ・・・そうなんですか・・・』



※2021年、5年ぶりくらいに復帰しましたｂ

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