【PFSOZ】俺の宝【豊穣の祭典】

※この漫画は左から右に読みます。
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コルエルが自分の本当の種族を知ったのは王都にいた頃だ。ゴミ捨て場にあった枯れた鉢植えを持ち帰り、花を咲かせて見せたのだ。異国から持ち込まれたというその植物はゼラルディアの気候や土壌では根付くのが難しく、花を咲かせるまで育った例が一度もないことを当時のコルエルは王の助言者達から聞かされた。そこからは大変だった。王の助言者の間では多くの議論が交わされた。不毛の土地へ送り畑を作らせる、鎖で繋ぎ希少な植物を育てさせる、研究機関に売るなど様々な意見が交わされたという。その議論を止めたのは女王陛下だった。女王陛下はすでにウォルタナにあるイスリアド家が所有する土地にコルエルを送り、麦の管理を任せたと言った。中には異議を申し出る者もいたが、後日イスリアド家へ献上された麦の量や質を見るや、反論する者は1人もいなくなった。

今思えば女王陛下はコルエルを守るために王都から遠ざけたのだろう。だが、17になったばかりのコルエルには女王陛下の意図が分からなかった。麦の苗と共に王都を離れ、ウォルタナの家に入った時、コルエルの胸には軋むような寂しさが広がった。それでも陛下が任せてくれた仕事だと、生命力を分け与えて麦を育て、畑を一面の黄金の海にした。そのせいだろうか。コルエルの筋力は徐々に落ちていった。重い農耕器具が持てず、小型の鎌を使うようになった。麦がたっぷり入った麦袋を移動させるのに丸々1日使うようになった。水がなみなみ入った桶が持てず、水を減らして川と畑を何往復もした。仕事に時間がかかるようになり、広い麦畑をコルエル1人で管理するのは徐々に大変になっていった。それでも迷惑をかけてはいけないと頑張った。頑張って頑張って涙も弱音も言葉も全てを飲み込んで、何も考えないように畑を管理し続けた。

だから女王陛下の葬儀にも出席しなかった。女王陛下の棺と対面したらきっと頑張って飲み込んだ言葉が溢れてしまうから。涙がこぼれてしまうから。もう動けなくなってしまうから。
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◆竜と狼
やっと心に溜まった言葉を吐き出せた狼【illust/102339982】
　人の部分を隠すために重ね着をしていました。最終章以降はファフニルに買ってもらった赤い靴を履いています。
やっと自分の宝を見つけた竜【illust/102484056】
苗獣【illust/103534299】
　キャプション内の話と関連しています。

◆pixivファンタジアSOZ【illust/101965643】